経験をデザインする

発想する会社』の続編である『イノベーションの達人』はかなり面白い。



イノベーションを起こすにはチームプレーで、このような10人のキャラクターが力をあわせることで成立つという。



img20070108.jpg

1.人類学者:観察する人

2.実験者:プロトタイプを作成し改善点を見つける人

3.花粉の運び手:異なる分野の要素を導入する人

4.ハードル選手:障害物を乗り越える人

5.コラボレーター:横断的な解決法を生み出す人

6.監督:人材を集め、調整する人

7.経験デザイナー:説得力のある顧客体験を提供する人

8.舞台装置化:最高の環境を整える人

9.介護人:理想的なサービスを提供する人

10.語り部:ブランドを培う人




それぞれの細かい説明は、本書を読んで頂ければわかると思うので、ここでの説明を避けるが、自分が特に注目したのは「経験デザイナー」という役割だ。



これは、製品のブランディングであり、提供するサービスを顧客に経験してもらうことにより自社あるいは自社の製品のファンを作り出すことに長けた人である。



「経験をデザインする」と言ってもピンと来ないかも知れないが、ディズニーランドに何度も行きたくなる人が多いのが、良い例だと思う。



自分は子供の頃、家の近くにある「アニーズ」というファミレスが好きだった。これは調布飛行場が経営していたので、店内には実物の3分の1くらいのセスナとヘリコプターが飾ってあり、その上ハンバーグが食べれるんだから、数ヶ月に1回そこに行くのがとても楽しみだった。



それと、同じように勝浦の寿司の成田屋に何回も行きたくなるのは、そこで経験がきちんとデザインされているからだろう。そこの主人は生け花の配置などお客がくつろげるよう空間にこだわっているし、この前、顧客カードを書いてくれってい言うもんだから書いたら、名前入りの湯のみまで作ってくれた。そりゃあ寿司だけだったら、片道3時間かけてわざわざ食べにはいかないよね。



これは機能的な満足ではなく、精神的な心地よさだ。



こういうことが、自分の仕事でどこまで出来るんだろうかって考えてしまう。情報システムサービスでそんなことが出来ている企業ってないと思う。これは、今年の一番のテーマだと、この書籍を読んで強く思った。



まあ、ベンチャー企業なので、それ以外の役割も当然求められることだろうが、この「経験デザイナー」を意識して、活動していきたいと思う。



なお、この「経験デザイナー」だけを詳しく知りたい場合は、『感性のマーケティング』や『考えないヒント』を読む方がわかりやすいかも。この2つの本もかなり面白いよ。