努力が報われないと感じる時に絶望が生じる
『若者はなぜ3年で辞めるのか?』を書いた著者の続編。
かなり面白い。自分はこの分野にかなり興味があるからなんだろう。
3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代
城 繁幸 (著)
若者の間で転職ブームなのは売手市場であるということのほかにも、年功序列制・終身雇用の崩壊。
方や学生側の企業名や年収で就職先を決める主体性のなさが、就職後のギャップを生じさせたこと。
特に日本の大学の存在意義などが取り上げられる。
この本は、自分がここで何かを書く必要がないくらい、あらゆる角度から若者が会社を辞める理由が取り上げられている。
ここで特筆すべき点は、若者が辞めるのは彼らがワガママになったのではないこと。
このような仕組みの問題ではないが、自分の気持ちを会社にぶつけられるようになったことだ。
年功序列は崩壊したが、その階段を上ってきたおっさん達の精神にはそれは残っている。
自分達が積み上げてきたと思っているものは簡単に壊されたくない。
ただ、積み上げてきたものに中身がない。
若者が純粋にぶつけてくる気持ちには、充分にこたえられない。
働く意味なんてどこにもないかもしれない。
先日のエントリーにも書いたが、働く意味への理解は「責任」と「不安」が導いてくれる。
http://naotake.blog.drecom.jp/archive/392
でも、入社早々の若者にはそんなにすぐ「責任」は課せられない。
すると、日々手探りで進むような仕事こそが生きがいとなる。
ただ、プロセスと役割が決まった会社だと、そのドキドキ感は味わえない。
歯車として意味もわからず、あくせくするのみ。
「希望は努力が報われるときに感じ、努力が報われないと感じるときは絶望が生じる」(ランドルフ・ネッセ)
どれくらいの企業が新しく入社してくる若者に対して希望を与えることが出来るんだろうか?
そこに絶望しかないのであれば、若者は3年を待たずに去っていくだろう。
ベテラン社員が滞留するのではなく、常に循環する経営を作らなければ若者が犠牲となることを経営者には理解して欲しいね。