本当の強み
このブログの続き。
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この本を読むことにより、企業の強みというものを真剣に考えさせられる。その強みは単なるハードにあるのではなく、とても複雑であるということが感じられる。
たとえば、製造業の所有する工場なんかは強みだし、不動産業の持つ土地なんかも絶対的だ。また、ディズニーやリッツカールトンお持つブランド力なんていう強みもある。でも、これらをコピーして同じ仕組みを作ったところで、それらが戦略上優位にならない部分が複雑な部分。
それらをコピーしたところで現状ではイコールの資産であって、ものの数分で違うものに変わっていってしまう。
その変化する市場に対する、先見力こそが企業の強みであって、それ以外には何者でもないように思えてくる。
単なるパクりが、市場で何の価値を見出さないように、完全に自社の価値観に閉じたものも市場では通用しない。これは、PPMで明らかにされているように、自社の投資額がどんなに大きくても、市場規模が小さければ「金のなる木」にはならない。
どうしても自分は、システム関連の企業に勤めているので、その業界にこの考えを当てはめたくなってくる。
システム開発系の企業はやはり「人数が多い」ということと「自社製品」を持っているところは強い。
でも、それと同じように人数を増やせば肩を並べられるかといえばそうではないのは当たり前なところ。人数を増やしても賄えるくらいの仕事の量があるからこそ企業として成り立つ。
自社製品にしても、これも市場とマッチしていないと、数千万円投資して作ったとしても水の泡。何の価値もなさない。
そんな中、将来に対する投資をどのように行えばいいのだろうか?
人の能力に重きを置くが、評価プロセスが甘いがゆえに、有能な技術者が転職していって内部強化を図れない企業は良くある。
人を中心に置くのは正しいように思えるが、これは企業のソフト面であるから、水もので不安定。サービス内容の変化も同様だ。
システム会社というのは、エンジニアが立ち上げた企業が多く、経営に対する経験や知識が低い。ベンチャー企業も同様だ。
自分の会社の器を固めずに、新たなビジネスモデルや商品開発などのソフト面に意識がいくことで、経営基盤は弱体化していく。ソフト面というのは、結局はお金のやりくりでしかないので、考えも短期的なものになりがちだ。
で、経営の方向性が人の質に左右されるのであれば、トヨタの「カイゼン」や本田の「ワイガヤ」に見られるような組織風土と、適切な評価制度を組み立てることが優先事項となってくるのではないだろうか。
ビジネスモデルの転換や人材教育は、その後になる。
そして、経営者自信が先見力を磨き上げること。
それが、強い企業を作る何より大切な資産となるんだろう。
短期的な成功は行動力で補えるけれども、長期的な成功は先見力が何よりもものを言うのだと感じる。今、投資しているものが花開くかどうか、それは運ではなく、経営者であるならば予測できるものとしなければならない。