動物化する議論
意外とよい本だったのがこの1冊。
『議論のルールブック』
印象に残った部分は、この2つ。
・議論とは主張することではなく人の話をよく聞くこと
・議論の中から答えを見つける、または近づこうという気持ちがない人は参加しないこと
2ちゃんねるなどのネット掲示板などの、最近の議論を見て著者はこの書を書こうと思ったという。
確かに、2ちゃんねるとか携帯メールとか、ここ最近コミュニケーションの流通量は増えているけど、この書に書かれている議論のルールには、そってはいない。
その形態は東浩樹氏が言う「動物化」であり、動物園の動物のように、あっちの檻ではライオンが「ガオー」と吠え、こっちの檻では象が「パオーン」と吠えているようなものと例えられることと同じだ。
ただ、それがネット掲示板だけのコミュニケーションだけかというと、そうではない。上記2つあげたルールの中では後者にあたるが、答えを見つけ出そうとしない会議は無意味かもしれないし、そもそも何の答えを見つけるかがわからないまま時間だけを消費する会議もある。
上記観点が議論という視点なので、その会議が無駄になるかもしれないが、コミュニケーションという視点でいうと、別に答えを求めなくても集まることで何かが生まれるかもしれないので、それが一概に悪いとは言えないが。
コミュニケーションを考えるには、とても参考になる1冊だ。
で、全員がルールにのっとって正しい議論が出来ることは、まずないだろう。
結局は、野球の審判のように、それらを判断するファシリテーターというのは大事だと、これを読んでいて思う。
ファシリテーターのいない議論は、それが企業内でリアルに行われていたとしても、ネット掲示板となんら変わらないものにもなる可能性もあるかもしれない。