1997年12月
起業家2.0?次世代ベンチャー9組の物語
佐々木 俊尚 (著)
なぜ、この本が面白いと思ったんだろうか?
それは、ここに紹介されている人達が自分と同世代だからだと思う。
ある意味、これを読んで気づかされた部分がある。
いわゆる「ナナロク世代」といわれる次世代ネットベンチャー起業家達を見て、とても若いという印象を持っていたけど、それは彼らが経営者だからであって、このように過去のストーリーを見ると実は同じ時代を生きた同世代の人達という点。
それを特に印象付けるのは、この中にも度々出てくるが、「山一證券」の破綻だろう。
当時、自分は大学4年生だった。
ここに出てくる起業家達はどれだけの大企業に入り、どれだけ出世できるかという価値観を持っていたが、この事件でそれをひっくり返されている。
正直、自分達にはバブル崩壊は現実ではなかった。
例え、就職氷河期であっても、それまで大企業を夢見て受験勉強をしてきた人達は、それなりに名前のある企業には充分就職できていた。
でも、この事件で日本がおかしくなってきているのを現実に感じた。
潰れないだろうと思っていたものが、あっさり潰れる。
自分は違う面で、この事件を思い出す。
そのニュースを知ったのは、ニュージーランドでの生活が8ヶ月目に入り、バックパッカー生活を送っていたときだった。
社会には全く興味のなかったので、何だか良くわからなかったが、向こうの国営放送のトップニュースで流れるんだから、よほどのことなんだろうと感じた。
そんなことを今考えると、当時の大学生はそんなもんだったと思う。
社会に出て何か自己実現をしようなんていうビジョンは持っていない。
直感的に、広告代理店やりたいとか、アパレル関係でバイヤーやりたいというくらいのレベルだった。
だから、大学時代の友人のほとんどが転職している。
残っているのは大企業で順当に出世している人間だけだ。
面白いことに転職してからの方が、みんな生き生きしている。
大学時代何にも考えてなかった分、就職してからちゃんと考えたんだろう。
自分なんて、はじめから就職なんて考えてなかったんだからひどいもんだ。
大学4年の時に就職なんてどうでもいいと思って海外に行ってしまったんだから。
飛行機で向こうに着いた時は「あ〜もうサラリーマンになることはないな」と思ってた。
それが今こんなんだから、笑っちゃう。
当時はそんなだったから、この本読んでると、自分が考えていたことや、大学時代の友人が就職してから考えていただろうことが、何となく頭に浮かんでくる。
そういえば、そん時くらいにみんなで麻雀やっていた時ある友人が
「ちゃんと卒業して就職しても、2年遅れて就職しても定年は同じで、その2年で生涯年収が2千万くらい変わるから、ちゃんと4年で卒業したほうがいい」
なんて理論ぶってたのを「なるほど」と納得してたのを思い出す。
正に年功序列制が当たり前の考え。
そいつも、そこそこ有名な企業で順調に行ってたけど、結局3年で飽きて1年海外に放浪した後にベンチャーに入り20代で上場企業の事業部長になっていた。
そんなのは頭のいい彼だから出来たことで、大抵はこんなことなら若い時にもっと遊んでおけばよかったとみんなが思っており、当時はバカ扱いされた自分の行動は、今や羨ましがられている方だ。
世間がひっくり返ってなかったらバカなまんまだったろう。
そして、今はそのブランクを取り返す時期だと思っている。
その中で、同世代の人間がこれだけ活躍しているのは励みになる。
(この本読むまで1世代下の人達だと思っていたが・・・)
そういや自分も、同世代の人達が経営している会社にいるんだった。
何か、まだまだいろいろなことが出来そうな気がしてきたよ