この本自体がプレミアム?−『プレミアム戦略』

見える化』で有名な遠藤功氏の最新刊。



プレミアム戦略

遠藤 功 (著)



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ここ最近、ビールやらチョコレートやら車やらのプレミアムブームを解析する。



で、この本、マーケティング的に非常に参考になることが多い。

遠藤氏がメーカー系の現場専門というイメージがあったので意外。



例えば、今までの商品戦略は横への広がりが主だったが、日本人の欲求と懐が上に向いてきている中、1ランク上の商品が注目を集めるようになったことや、精神的ストレスが週末だけでは緩和できなくなった現代において、チョコなどのプレミアム商品は自分にとっての「プチご褒美」となるなど。



精神的な部分の変化を読み解いているあたりが面白いね。



そして、企業としてプレミアム製品を作り上げるために必要なことの中に、



・本物の職人を育てる

ストーリーテラーを育てる



という2点に注目したい。





1人の人間のこだわりが、その商品をプレミアムに育てるという。

複数でアイデアを揉んでしまうと、角がとれてしまい丸いアイデアになってしまう。

プレミアムは全ての人ではなく、1部の人に理解をもらえればいい。

だからこそ、1人の職人のこだわりが必要だという。



そして、プレミアム商品を買う人は機能的な部分では満足しない。

その商品に隠されたストーリーによる精神的な満足も求めている。

その商品にまつわる逸話や開発秘話を伝えられる人が、プレミアム商品を要求する人の気持ちを離さない。



とまあ、ここ最近のマーケティング理論が凝縮されている。





内容的には非常に読みやすく、新書でもいいんじゃないかと思ったが、そこは遠藤氏が作り出すプレミアムな1冊なんだろうか?

本のカバーとかも高級っぽく振舞わられているし。



まあ、いろいろな意味で気づきをもたらしてくれる良書だった。