交渉人-『「交渉」からビジネスは始まる』
これまた面白い。
「交渉」からビジネスは始まる (HBRアンソロジーシリーズ)
DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部 (編集)
交渉事として大抵の人がイメージするのが、理論武装だとか心理戦とか。
とてもアメリカ的な態度だと思う。これは、映画とかの影響なのだろうか。
映画「交渉人」のような場面は、一般の人にはほとんど起こらないよ。
自分達の主義主張を一貫して通したとしても、長期的なビジネスにおいては得策ではないよね。
常に『パワープレイ』のような心理本は流行っているが、これが使えるのは短期的な関係で済ませたい時だけ。
これが使えるのは、一般消費者を相手取る安価なものを売る場合のみくらいだろう。
この本を読んで交渉を進める上で大切なことは
・相手の話を良く聞くこと
・相手の立場にたって物事を考えること
・長期的な展望で両者の利益を考えること
というところだろう。
提案が通らなかった時の代替案(BATNA)も必要だ。
また、この本の第8章には「中国流交渉術」が紹介されている。
中国人の交渉は、「人間関係」をとても大切にする。
交渉においても短期的に結論を出すのではなく、初めて交渉する企業であっても食事に誘ったり、観光に連れて行ったりして、長期的な人間関係を築けるのかを確かめるという。
外部の企業との交渉が多い場合はアメリカ流の交渉も時と場合によっては必要。
ただ、多くの人は上司や取締役会が相手の社内交渉が多いと思う。
そういうシーンにおいては、中国流交渉術の方が役に立つかもしれない。
人間関係と根回しは何よりも大切なことだと思う。
予想以上にこの本、よかったなぁ。