どんなに努力しても報われないあなたへ


この本は、社会人としての時間の使い方や考え方を知るには、とてもいい。
人生の使い方をバランスシートにて例えている。


弾言 成功する人生とバランスシートの使い方

弾言 成功する人生とバランスシートの使い方


同じ1時間でも、使い方によって価値は異なる。人によっては週末の1時間を読書に費やすことで将来への貯蓄になっている場合もあれば、テレビに使うことで浪費しているかも知れない。もし、計算できるのであれば自分のバランスシートを棚卸してみるといいだろう。今、自分のもっている知識やスキルという貯蓄がどれくらいか?月にどれくらいの学習をして貯蓄を続けているか?そして、もし貯蓄よりも消費のペースが速いのであれば、あとその貯蓄が何年持つか?


ここでいう貯蓄や消費はお金と違って、スキルや知識なので残念ながら定量化できない。そして、「物知り」がインターネットの発展でその意味をなさなくなったように、それらはある日突然価値が大暴落することもある。そのような中で、これらを計るのは難しいことだが、意識している人としない人は大きく違う。


成長する人というのは、その時間の価値を充分に理解していると思う。仕事にしてもその1時間の価値が月給の160分の1なのか、もしくはその数十倍の価値があるかを意識して行動をする。もし自分の1時間の仕事が月給の160分の1の価値しかなかったら、その仕事内容を考え直したほうがいい。月給があがれば1時間あたりの価値はあがるかもしれないが、それはバイトの時給が数十円あがったということと何の違いもない。たとえ知的作業が伴ったとしても、頭数がそろえば何とかなる労働集約型の仕事にすぎない。


バランスシートを健全に保てる人は、仕事の時間も自分の資産を増やすために使う。逆にいうと仕事で充分貯蓄が出来ていれば、週末はゴルフとかテレビとかで時間を浪費してもバランスシートには大きく影響を与えることなく、頑張って読書とかする必要もない。


また、貯蓄を大きく増やすためには、コツコツ貯めるためではなく、投資することがポイントになる。大金を払ってビジネススクールに通う、給料を減らしてでもスキルが身につく会社に転職するなんかはそうだ。投資をしなければ、大きくは跳ね返ってこないだろうし、逆に投資をしても単なる損失になる場合もある。


自分自身の経験に当てはめるとどうだろうと考えてみる。システムエンジニアをしていた時は、仕事の1時間は1時間以上の価値がなく、どれだけ多くの時間を働こうが、将来の貯蓄になっている感じがしなかった。会社が推奨する資格などを取得するために学習することがあったが、基礎を学んだり社内の評価をあげるにはよいが、自分の将来を担保するものでもない。入社して間もないということもあったが、この時期はあくまでも目の前の時間を費やすのに精一杯だった。


その後の転機は営業に職が変わってからだ。いろいろな人と仕事する機会が増え、また顧客と接する機会も多くなり視野が一気に広がった。顧客もいろいろな業種がおり、訪問するたびにいろいろな情報を取得できるので、1時間の意味が大きく変わることに気づいた。そして、レバレッジを意識した、将来に向けた日々の学習にも取り組み始めたのはこの時期から。


その後は、ビジネススクールに通ったり、転職したりなどそれまでに貯蓄してきたものを投資にまわした。それにより、1時間で得られるものが、システムエンジニア時代の何十倍の価値があるように感じられるようになった。ただ、転職して2年が経ちそこそこの貯蓄が出来たので、将来大きく羽ばたくための投資も必要だと最近感じている。


また、人生で貯蓄するものはスキルやノウハウだけではない。気力も同様にバランスシートで考えたほうがいい。仕事が忙しく余裕がない流れで、例えば起業するなど、気力てきにはとても大変なことだと思う。余裕がある中で、気力を蓄積することで、一気に爆発させることも出来る。


一生懸命仕事をしているのに報われないと考えている人は、本書を読むといいと思う。
結構、こういうことに気づかないために、一生頑張っても報われない人なんか多いんじゃないかな。努力しても報われないと感じる人は、努力の矛先を変えることに、気づいたほうがいいと思う。ただし、出世することを求める人は、本書は読む必要ないけどね。