ここ最近のパラダイムシフトを感じられる本
ここ最近読んでた本から、大きなパラダイムシフトを感じたので、まとめてみることに。
まず、価値観というのは人それぞれで違うし、同じ人でも時間が経過することでその価値観が変わることもある。そして、その価値観は人が行動することを促す、最大の原動力となることは明らかだろう。それらは、自身の目から見たらモチベーションだし、そのような心理を利用しようと思えばインセンティブという言葉になる。
昭和の時代は、その価値がモノ中心であり、一般庶民の憧れであるマイカー、マイホームなんていうのがわかりやすい例だった。企業もそれらを多くの人に届けるべく大量に生産し、サラリーマンはそれらを得ることをモチベーションとして、ひたすら働いた。
ただ、今の社会では「嫌消費」などという言葉が出てくるように、多くの人が消費に対して消極的になってきている。この人たちの価値観に家や車を買うことの喜びはない。それは、単に収入などの経済的な理由ではなく、ユニクロを好むのとは訳が違う。パソコンや携帯電話でネットさえつながればそれで満足できてしまうので、お金は通信料程度あれば、それでよかったりもするし、更にいえば実家にさえいれば、それにもほとんどお金がかからなかったりする。
ウェブに接続できれば無料のサービスが山ほどある。一方、そのようなユーザーに無料でサービスを提供する仕組みを、コンテンツを提供する企業は上手いこと作り上げている。昭和の時代の同じものを大量生産して、同じ価値で多くの人に提供するビジネスモデルとは違い、同じサービスでも、ある人にはプレミアムな価値をつけてあげて有料にしたり、コンテンツそのものの製作を心理的なインセンティブと引き換えに提供してもらうなどというビジネスモデルで成り立っている。
ここで言う心理的なインセンティブとは、対価が発生するものではない。もし、対価が発生したらそれは労働となり、多くのユーザーを訪れる魅力的なコンテンツとはなり難い。仮に善意で行動している人が対価を得るようなことがあれば、やっていることや結果が同じでも、そこにあるモチベーションは異なってくる。
こんな流れで本を読んでいて、改めて気づいたことは、自分のモチベーションは何で、インセンティブは何なのかということ。
経済価値でいうと、自分の今持つ時間に対する対価はどれくらいなのか?大学時代は当然時間も有り余っていたので時給900円でも、まあそんなもんと思うけど。また、自分はモチベーションで働いているのか、インセンティブを得るために働いているのか?ベンチャー企業であれば仕事の内容だし、大企業だと様々な手当てがあるからそこに属しているのかもしれない。また、更にいうと自分のために働いているのか、家族のために働いているのかでも、労働に対する対価は変わってくる。更には、今のために働いているのか、将来のために働いているのか?経済学的では、時間により価値が変わるというように、時間を対価に労働しているなら、今の時間は今のために使うか、将来のために使うか価値観は変わってくるはずだ。
経済学は簡単にいうと交換社会に関することだから、最終的には個人の労働にまで落ちてくるので、改めて考えさせられることが多い。そんな中、不景気なご時世なので、仕事が労働となりつつある人は多いと予測でき、当たり前だが多くの人が保守的になっている。一方、このパラダイムシフトにより最小限の労働力で価値を提供する会社が増えて来ている。保守的な心理になりつつも、パラダイムシフトが起きている今という時間をどう使っているかは、とても重要になってくるということが、これらの書籍を読んでいて感じたこと。
労働市場に埋もれることで、パラダイムシフトについていけなくなることもあるんじゃないかと。当然のことながら、労働力は安い市場に流れていくので、賃金の高い国内生産は減ってくるだろうし。
(余談だが、『インセンティブ』内に書かれていた内容で、労働力の安い国のレストランは値段以上に食べ物が美味しいというのは納得できるものだった。)
ということで、これらの流れを知るための3冊。
特に無形なものの価値があがるのは、心理的充足を求める比率が高くなってきたことだと思う。
- 作者: クリス・アンダーソン,小林弘人,高橋則明
- 出版社/メーカー: NHK出版
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- 作者: タイラー・コーエン,高遠裕子
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「嫌消費」世代の研究――経済を揺るがす「欲しがらない」若者たち
- 作者: 松田久一
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