モチベーション3.0

自己啓発系では久々の良書。


モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか


本書を簡単に紹介すると、アメとムチという短期的目標を基にした人をTYPE X。自己の鍛錬を目的とし長期的目標の中成長していく人をTYPE Iとし、前者を2.0、後者を3.0と読んでいる。当然のことながら2.0の理論は旧来社会においてであり、現代社会においては3.0であるTYPE I型の人間が成功してくとのこと。


これは、特に新たな理論ではなく、ドラッカーのいう肉体労働者が終わり知識労働者の時代が来るということや、マクレガーのX理論Y理論、または7つの習慣における自己の鍛錬というような形で、これまで数多く論じられてきたこと。ただ、それでもアメとムチ的なマネジメントや短期的な外的動機付け(給与とか)により設定された目標達成に追われる人が多いからだろうか、改めて3.0にあるような内的動機付けによる自己の鍛錬を目的とする意識の必要性を強く主張している。


なので、本書が良書なのはその理論が目新いところではないが、必要性を説いているだけあって、内的動機の重要性について、これまで論じられてきたことが、綺麗にまとめられている点が大きい。


で、個人的に本書で特筆すべき点は以下の内容。内発的動機付けから発生し、その目的を実現するまでの鍛錬のプロセスは、納得できるものだった。

□マスタリーへ近づく5つのステップ
・意図的な訓練には、実力をあげるという1つの目的しかない
・とにかく反復する
・批判的なフィードバックを絶えず求める
・改善すべき点に厳しく焦点を合わせる
・訓練の過程に精神的、肉体的疲労を覚悟する

頑張っているけど実力がつかない人は、多くみかけるが、その場合は上記5点が足りない場合が多い(もしくは、上から4つは満たしてないが、精神的に肉体的にきつければ実力が付くと考える精神論者であるとか)。


こららの鍛錬により身に着いた実力は何になるかというと、今後の人生の選択の自由を得られることとなる。また、モチベーション3.0のマインドは仕事そのものも楽しめる。何となく「自由=仕事しない」と連想する人が多いが、仕事が楽しむことが、本当の自由に近いのではないかと思う。また、1つの目的を達成するために今の仕事が鍛錬という位置づけであるならば、マスタリーへ近づく過程の5番目にあるように精神的に肉体的につらくても、何とかなることもある。


自己啓発や成長がとまっていると感じている人は、勝間和代の本よりも全然役に立つので、本書は読んでみたほうがいい。そして、興味があるなら『7つの習慣』を読んで、マスタリーを目指すことをお勧めする。