ウィニー事件について

昨日、ウィニー事件の判決が下った。

(12月14日日経産業新聞より)



結論は、ウィニー開発者の「有罪」。

有罪の理由は、「著作権法違反」を「ほう助」したとのこと。



つまり、ウィニーの利用者が著作権を犯して、ファイル交換を出来る仕組みを作ったからというようなものだ。



これには、『ネット社会の未来像』で、神保氏や宮台氏が言うように、「ナイフを販売して、それを利用して殺人がおこったときに、ナイフを販売した人を逮捕したようなもの」というのには、同感だ。



いっておくが、ウィニーというのは、ウィルスに感染することで、個人のファイルの流出を斡旋するものと捉えられているケースが多いが、そのようなものではない。



この技術は「P2P」という革新的なものであり、サーバーを介さずに1台1台のPC同士を直接接続できるというものだ。



そして、ウィニーの開発者の金子氏は、その技術の発展形としてウィニーを開発したのであって、著作権法を犯すために作ったわけではない。だから、著作権法違反を犯すかどうかは、ユーザー側のモラルであり、ナイフを利用するのと同様だ。



当初は、ユーザーも便利なツールとして利用していたとは思うが、まさか開発者が逮捕され、ファイルまで流出する事件になるとは思っていなかっただろう。ただそれが犯罪だとわかっていても、まさか自分が捕まるわけない(これで捕まったのは、多分2人くらいしかいない)という思いと、みんながやっているからということで、犯罪意識もほとんどないんだろうな。



実際の被害は目に見えないわけだし、著作物のコピーなんてCD−Rが出た時から、みんな当たり前にやっていた訳だし。





まあ、それはそれで、今回の事件についてブロガー達の感心が最も高いのは、新しい技術革新を国が法律で止めてしまったこと。



世間的には、ホリエモン逮捕のように、またIT関係の事件くらいしか思っていないかも知れないが、これは単なる倫理をしらない若者の暴走ではない。



革新的なサービスが出れば、当然古い秩序は崩壊される。特に「WEB2.0」なんていわれているサービスは、新しいサービスが古いサービスをぶっ壊しながら進んでいるじゃない。



mixiをみんなやり始めることで、BBSはほとんど誰も使わなくなったし、googleが当たり前になると、テレビやラジオの広告収入も減少した。そいういう革新と淘汰を繰り返して文明が発達していくのでは。



当然、法律は守らなければならない。法律を破ったものが勝者になるようなことがあからさまに顕在化する社会は、住み心地も悪いだろう。でも、ベンチャー企業として常に革新的なアイデアを出していくものたちは、いちいち法律を気にしてサービスは作らない。



彼らの基準はユーザーに受け入れられるかどうかだ。ただ、法に触れるとなれば、それはビジネスにならないので、彼らは改めるだろう。ただ、技術やアイデアが進歩することを法で止めてはならない。



今回の事件は「著作権法違反ほう助」ということで、直接そのサービス事態が法に触れているわけではない。だからこそ、そのサービスによって法を犯すユーザーがいるのであれば、逆に著作権を守る側がそれを防ぐ仕組みを作ることで、世の中の仕組みが進化していく。ちゃんとファイルを買わせているアップルのITMSのように、新たなビジネスモデルで対抗していくべきだと思う。



それでもって、開発者を逮捕しての一次判決では、開発者には「以降ウイニーのプログラムソースには触れてはならない」という裁決がくだったという。その後にウィニーのウィルス感染によるファイル流出事件が発生したのだが、開発者の金子氏は日経ビジネスのインタビューで「そんなウィルスはプログラムを1行修正し、パッチファイルを配布すれば直ぐに解決できる」と述べていた。



恐らく、彼の意図しない方向に展開しているので歯がゆいに違いない。ウィニー自体が、どんどん暴走し、それにより本人が悪者扱いされるのだから。



もし、すぐに対処していればあそこまで流出事件は広がっていないだろう。しかも余談ではあるが、彼を逮捕した京都府警の職員が、ウィルス感染によりウィニーからファイル流出をしたのだから、滑稽な話である。



で、この事件に対する論争は、まだまだ様々な人のブログを中心に、暫く続いていくんだろう。情報システム技術で新たなサービスを作っていこうとする人達はウオッチしていくべき事件だと思う。



ウィニー事件について書かれたブログ

http://ohnishi.livedoor.biz/archives/50272133.html

http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50713696.html