なぜ辞めるんだろうか?

若者はなぜ3年で辞めるのか?』を読んでみた。



内容としては、いわゆる年功序列制度の崩壊で、同じ会社に長いこといても給料はなんら変わらないのでメリットがないことと、飽和したおっさん世代が自分達の保身のために、現状ではキャリアが浅く修行中の身であり、すぐに収益にならない、若者達を斬っていくということ。



こういう仕組みが若者を会社から辞めさせるという。



この意見に対しては、確かに正しく思えるが、納得がいかないものが多い。人の心理から見ると、どんなに将来が不安であれ、現状の安定性に甘んじてしまうのがほとんど。そうだろうと思っていても口の上手い上司にだまされていたり、「景気が回復すれば、またよくなるさ」なんて風に、中々飛び出すことは出来ない。



これは、茂木さんがその著書で言っていたが、動物は本能的に自分の中になにかしら安全圏がないと、道の場所へは飛び出していけないと。



我武者羅に飛び出して、万が一就職できなくてもフリーターをやれば、そこそこの収入がある社会だ。でも、それは安全圏ではない。フリーターと引き換えならハゲたおっさんの言うことを数年でも我慢しようと思うもの。



この書籍の著者は、転職先が増えたことが若者が辞める理由であることを否定している。でも、自分はそれこそが若者が辞める理由ではないかと思う。



転職先が増えることこそ「安全圏」。ある程度希望の職種に辿り着く可能性が高い。自分の希望先が数社しかなく、そこに入れればとギャンブルで辞めるよりも、十数社から選べる場合の方が気持ちが楽だ。



しかも、供給過多であれば、在職中に転職先が決まることも多い。



それでもって、更なる理由は、インターネットの普及だろう。

検索エンジンで様々な企業情報が手に入るし、ウェブ上の転職サイトは情報が満載だ。今まで見えなかった世界が、簡単に見れるし、かなり細かい情報が取得できる。



自分も、実際の転職活動はかなりウェブを活用した。就職先のピックアップから面接対策まで、ありとあらゆる情報が入ってきた。入社して驚いたことは、そこまで調査していたので、入る前と入った後では、何のギャップもなかったこと。



このように視界が広まるのは、その可能性を広げるものでもあるし、安全圏を大いに増やす。



また、年功序列が嫌だからと、逃げ出すような転職よりも、やはりやりたいことをやるための転職の方が美的だ。世界が広がると、そのようなプラスの要因も見つけやすい。



どうせ条件が一緒なら、よりやりがいのある仕事に着くために転職する。これは、この書籍にあった共感できるところ。





とまあ、内容の賛否はおいておいて、ここまで考えさせられる本だから、面白いうちに入るんだろう。特にタイムリーな内容なので、転職を考えていたり、転職後の人、はたまた自分の会社内に転職者が続出している人は、読んでみるといいんだろう。



ただ、もう少し心理的な部分からの分析は欲しかったな。