どちらにいるのか?

電車に乗って会社に行く。



片道、約1時間。



これは、現実社会と虚構世界をつなぐ架け橋。





調布から恵比寿へ。

どちらが、リアルな世界なんだろうか?





職場としてのエリアと週末の家のあるエリア。

どちらかがリアルで、どちらかがバーチャルかも知れない。





サザエさんシンドローム」という言葉がある。

多くのサラリーマンが、サザエさんを見ることで週末の終わりを実感し、また1週間が始まることを現実に感じると思うとブルーになるらしい。



これは、現実に行くのか、虚構の世界に引きずりこまれるのか。





その両方を一元的な世界で見ると、話が早い。

どちらもリアルと言えば、そうだろう。





でも、仕事とプライベートというオンとオフで考え初めてしまうと、どちらかがリアルでどちらかが虚構となりえる。



通勤が便利だからといって、会社の近くに住むのは、とても合理的だが、それだとどちらか一方の世界に支配されてしまうような気がする。



東浩紀氏が『東京から考える』で、「渋谷は自分にとってロールプレイングゲームの都市という感じがする」とあるように、ローカルな場所で育った自分にとって、山手線沿線の地域というのは、グルメMAPで美味しい店はどことかとか、みんなで飲むのに良い店はとかを地図上から探しだすような、バーチャルな世界にしか思えない。



ドラクエでどこに行けば「ロトの剣」が買えるという、そんなのと一緒だ。





そのバーチャルな世界が日常的になると、リアルと虚構の世界が入り混じる。







普通に考えると全てがリアルなんで、そんなこと考えていること自体バカバカしいかもしれないが、こういうこと考えると世界が複雑化してきて、面白いから考える。





生活圏と仕事圏とウェブ世界。



人それぞれがペルソナ(仮の姿)をそれぞれで持っているから、人生というものが成立つ。



全てを統一させようと思うと、無理があるよ。



新宿という超高層ビル街が立ち並ぶオフィス街のすぐ裏には、歌舞伎町というアンダーグラウンドな界隈があるように、表があれば裏も必要。



裏というのは、人によっては逃げ道や、心のよりどころかも知れない。



全てがオフィス街で逃げ道のない丸の内という街は、とても窮屈だ。



都市化というのは、このバーチャルの世界を拡大化させている。

ネット社会の拡大が、さらにそれを拡大化させる。





自分にとってのリアルとは何か?



それを認識しないと、バーチャルに支配さてしまう世の中になってきた。正にそれこそ「マトリックス」の世界なんだろう。



映画「トゥルーマンショー」のように、もしかしたら作られた世界で、綿密なキャスティングの中、自分は監視されているかも知れない。







そんなことを思いつつ、月曜の朝は電車というリアルとバーチャルの架け橋を渡り、どちらかの世界へ引き戻されていく。



引き戻される世界がどちらかは、未だによくわからない。





  『東京から考える



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