無料にすればいいってもんじゃない

http://www.asahi.com/business/update/0504/TKY200705040119.htmlより



コーヒーやジュースがタダになる自動販売機が6月にも登場しそうだ。紙コップ式飲料自販機大手のアペックス(東京都)が広告会社と共同で始める。



タッチパネルで飲料を購入すると画面に流れる広告の費用で、飲料代がタダになる=ウィル・ビー提供

 タダの秘密は広告だ。19インチのタッチパネル式の液晶画面を紙コップ自販機に設置。顧客がパネルで飲料を選んで購入ボタンを押すと、紙コップに飲み物が注ぎ終わるまでの約30秒間、画面に広告が流れる。紙コップも同じ広告の絵柄にする。1回分の広告(紙コップ一つ)を広告主に70〜80円で買ってもらうことで飲料代をタダにする。





そこまで、やらなくても・・・。



広告収入で消費者には無料のものを提供するっていうのは、ウェブの進化によって新しいものに思われるけど、本当にそうなのだろうか?



それ自体は、今まで普通に存在しており、企業がとある何かを運営するのを助けるために存在しているものだ。



例えば、野球場に足を運べば広告だらけ、JR山手線や都営バスの車両の外装は広告で覆われているけど、消費者はだからと言ってそれらを無料で利用できるわけではない。



むしろ、広告収入があるからこそ、それらが存続するのであり、それらがなくなると消費者が困ることこそ、真のサービスではなかろうか。存続を助けるための広告収入もとても大切なものだ。



そのサービス自体の価値を高めることが先であり、無料で多くの消費者をつるのは市場の混乱を招くだけ。更には、ブランディングの出来ていない媒体に広告を出稿する企業など、たかが知れている。





紙コップの飲み物は、持ち運びに不便だし、高さもない。そうすると影響の範囲は購入する時のタッチパネルでの映像も含めて、それを購入する人にしか届かない。



むしろ、コントレックス伊右衛門がやったような、ペットボトルそのものを、それ自身の広告媒体にした方が、その普及性やブランディングという意味も含めて、賢い戦略だ。



広告のキーワードは「無料」よりも「ブランディング」にあるような気がしてならない。



そんな中、僅かな期間はこの無料の自販機が出れば、多少の話題にはなると思うので、消えてしまう前に恩恵を授かった方がよさそうだ。