知の欲求を満たすもの

知の欲求に関することで、意外と知られていない側面がある。



知に対する欲求には3段階あり、それは「真の知識に対する認知的欲求」「理解に対する認知的欲求」そして「審美的欲求」と言われるもの。



「真の知識に対する認知的欲求」は、いわゆる好奇心というやつ。



そして、「理解に対する認知的欲求」は探究心。



最後に、「審美的欲求」は表現・実行・運動的完成というアウトプットへ対してのこだわりとでも言うのだろうか。



これは、1人の人間が段階的に上っていく(前の段階を捨てながら上っていく)のではなく、範囲を広げていく欲求に思える。



好奇心だけで新しいことを始めてはやめを繰り返す人。熱心に勉強をするけどアウトプットが苦手な人。最終的に自分で体系づけた理論的なものをアウトプットしたくなる人。



これを資格とかの技能に対する取り組みや、転職とかに当てはめるとわかりやすいんじゃないかな。「真の知識に対する認知的欲求」(好奇心)だけでは、何をやっても広く浅くなってしまい、最終的には何も身につかない。



まあ、これはマズローの理論なんだけれども、その5段階欲求説と比べると、1人の人間の成長過程がちょっと違う。



5段階欲求説は、今いるレベルの欲求に満足すると、それを捨てて1つ上の段階の欲求へと移動し、前の欲求は満たされて当たり前のものと思ってしまう。



しかし、この知の欲求に関しては自己の満足度合いを意識的にコントロールする必要がある。つまり、好奇心だけをいくら繰り返しても、探究心やそれを美的に昇華することを求めないと、いつまでたっても成長していかない。



非常に薄っぺらい人間になっちゃうんだよ。



結構、身近で転職している人を見てきたけど、その転職時の欲求が好奇心なのか、探究心なのかで、アドバイスも大きく変わるかなと、いまさらながら思う。



本人の探求心がその職場で満たされない場合に、「折角決めた就職先なんだから我慢しなさい」なんていうのは、本人の成長を妨げることになる。



これらの欲求レベルを自ら判断する基準として、成功した時点で次の新しいことを取り組むってことは、大切かもしれないね。







今読みかけのマズローの『人間性の心理学』の理論から引用しているが、それにしても、この本は期待以上に面白い。



更に読み進めていくのが楽しみ。



そして、この本はあせらずじっくりと読んでいる。今のマズローに対する興味のフェーズは好奇心よりも探究心の方が強いのでないかと思うので。