成長と転換
自分はかつてシステム開発企業にいたので、多くの企業が考える受託生産型のビジネスモデルからサービス提供型のモデルへの転換など、経営の転換期をいろいろと見てきた。
経営の転換とは、当初は利益率の向上を主な目的とすると思う。
多くの経営者は、当然のことながら企業の業績を伸ばすために、あれこれ工面していく。
貯金をしたことがある人はわかると思うが、数値が良くなってくることは、とても気分がいい。恐らく経営者の精神的満足もそれと大差がないと思う。
で、会社を起こした当初というのは、少ない人数で頑張れば頑張るだけ売り上げがあがる。すると、人を増やすと売り上げが上がるのではないかと考える。
そして、その後は売り上げの伸びも頭打ちになる。むしろ、人を増やすことで管理費用が増し、実は利益率は下がっていく。
すると、人を原価にしたビジネスだと原価率が高い。だから、原価率を下げるために効率性と生産性を重視する。
独創的なものよりも、同じものを早くつくる。
システム開発に関して言えば、ソースが汚くてもアウトプットさえあっていればそれでよい。
余談だが、日本のものづくりが衰退してきたと言われているのも、経営の効率化を求めすぎたため本物の技術者がいなくなったからであり、システム業界も同様だと思う。
何だかんだで、その効率化も頭打ちになり、そこでビジネスモデルの転換が叫ばれる(ひどい企業は、いかにして従業員に残業代を払わないということで、更にコスト削減をするが・・・)。
やれエンドユーザー直販だ、パッケージ商品の開発だとか。
で、どこのあたりから1人1人の「従業員の感情」は無視されるようになったのだろうか?
まあ、それはさておき、そのビジネスモデルの転換が上手くいく。
すると次は上場がさけばれる。
売上高が順調に推移してくる。
すると、更なる利益率向上が叫ばれる。
となると、削られるのは当初立ち上げ時に起こしたビジネスモデルの受託生産型の仕組みとなる。その部分は完全にアウトソーシングとなる。
すると、ここで分かれ目がくる。その余った人たちを、どうするか?
まあ、ここら辺では大分当初メンバーと従業員が変わっていることだろうが・・・。
で、開発部門を子会社化して出向させるか、新たなる研究開発部門を設置し、将来へ投資するか。
とまあ、紆余曲折し上場達成。
すると、株主視点が中心の経営へ・・・。
ここからが、この書籍の本題。
その後、上場企業がどのような経営をしていくか。そして、どのようにヘッジファンドに食い物にされていくか。
まだ読みかけだが、非常に面白い。
前置きが長かったが、この本を読みながらこんな情景が目に浮かんだ。
実は3つの会社で、それらの段階的フェーズを目の当たりにしているからだと思うけど。
だから、この本が面白いんだろうな。
21世紀の国富論