フォレスト・ガンプと取材拒否のラーメン屋

『ウェブ社会をゆく』の第二章〜新しいリーダーシップ〜を読む。



リーダーシップといってもこちら側社会のリーダーシップではなく、あちら側での特にオープンソースコミュニティにおけるリーダーシップについてだ。



RUBYを作ったまつもとゆきひろ氏のように、この世界でコミュニティを確立された人達を見ていると、彼らの没頭度合いが凄い。

確実にいえるのはその行為は趣味の領域であり、趣味なのだが明確なビジョンがあり、そのビジョンに向かうことを徹底している。

もちろん趣味なので収益なんて考えていない。



「趣味を仕事にしたい」なんてことは、若い頃はみんな考えるようなものだけど、結局好きなことを仕事にしてもある程度稼ぎが必要となるので、結局は仕事に縛られてしまい趣味は趣味のままではなく、その言葉通り趣味が仕事になってしまう。



まあ、旅行が好きでツアーコンダクターになるか、思うがままに旅行してたら勝手にスポンサーがついて懐が潤うくらい大きな違いだね。



そんなのは、マスメディアに取り上げられない限り、よほど変わっているか運がいいかに左右されるが、ウェブ上は世界中に開かれているため、そういう機会も多くなっているんだろう。



オープンソースコミュニティに参加する人たちは、EU・米国など経済的に裕福な国が多く、意外とインドや中国などのハッカーは参加しないそう。

いわゆる欲求段階が高い人たちで、充分生活は出来る傍らで趣味を趣味として続けていける経済力がある人たちが多いんだろう。

ひたすら家でソースコード書いている人なんか、日本でいうニートの概念に当てはまる。特に大きな違いはないように思える。

あんまり、ニートについて考えることはなかったが、ニートは日本の高度成長時代を支えた団塊世代がこぞってマイホームをたて貯金をしてきた恩恵を受けているだけ。

増えるべくして増えたもので、当然東南アジアみたいな先進国には、そんなのはあんまりいないんだろうね。



ちょいと話がそれたが、それらは特に営利を考えていないので、邪悪なものが入り込まない。

ラーメン屋もテレビで取り上げられれば客が増えるが、その分「ショバ代」取られたり、わけわからん投資を迫られたりといろんなものがつきまとわる。

取材お断りのお店なんていうのは、儲けよりもラーメン作りを追求したいなんていうような、これらに近い領域かもしれない。



ここんところウェブサービスは収益にならないなんていう定説が定着しつつあるが、

ウェブ広告でどれだけお金を取れるかを考えることは、ラーメン屋にたかる怪しい投資会社みたいなもので、非営利から発展したオープンソースのような世界とは根本的に違う。



ウェブ広告なんていかにクリックを増やすかとか、クリック単価をあげるかを収益があると考えがちだけど、本質はどれだけ役立つ広告を表示させるかという技術であって、結局のところサービスはサービスなんだよ。



で、趣味なんてものは出費が生活を圧迫しなければいくらでも出来るもの。

スキー好きな人が、冬の間仕事休んでカナダの別荘に篭ってスキー三昧するようなもんで、お金がないからみんなはそれが出来ない。



ビジネスとして考えると、収益の前に投資があるから2,3ヶ月で収益が出なければ、面白くなくなっちゃう。

3年もかけてじっくり1つの成果を作り上げるようなことって、中々出来ない。



というように、これ読んでいると、ウェブサービスってサイドビジネスなのかなって思ってしまう。

ただ企業の中でも、それらに気づいているところがあって、例えばmixiとかグーグルとかの1週間のうちの1日は自分の好きなことにつかっていいなんていう20%ルールは、そういう意味では上手い循環を作り上げているんだろう。

5日に1日でも土日を入れれば週3日。もちろん、面白いことが見つかれば彼らは徹夜してでもプログラムを書くだろうし。



ただ、それだけでは成功者にはなれない。出来るだけ多くの人を巻き込むことをしなければ。

ある程度の自分の成果を解放して、自然的な発展に委ねるのもリーダーシップの1つだ。

これは、リアルの世界のリーダーシップにも通用するが、相手は世界中の人たちだから、可能性は広いが、運に任せることにもなるんだろう。



このように非営利で多くの人を巻き込む姿を考えていたら、「フォレスト・ガンプ」の1シーンを思い出した。

ガンプがアメリカ大陸を2年半ひたすらランニングで往復している間に、自然とマスメディアや賛同者達が着いてくるシーンね。



そんな感じでまだ二章までしか読んでいないが、人生のヒントが大いに隠されている気がする。