書評-『ウェブ時代をゆく』

img20071111.jpgウェブ進化論』が出てから、約1年半。

どれだけの人がその続編を期待していたのだろうか。



ただ、単なる続編として位置づけていたのであれば、『ウェブ時代をゆく』を読んでがっかりした人も多いと思う。

別にこの本は続編でも何でもない。梅田氏流の生き方、学び方を書いた一冊だからだ。



ゆえに、その1年半に起こったウェブ社会の進化には、特には触れられていない。むしろ、その世界に順応することで、進化していった人については、多く取り上げられている。



そして、その人たちのような成功を、現実の世界とウェブという別の世界を行き来することで実現できるのか?



この本は、そのヒントとなる1冊だ。



だから、もしかしたらもう今の生活に満足してしまった人。

特に大企業に勤める50代の人なんかには、この本はどう写ったのだろうか?



ウェブ進化論』においては、それに感銘を受けた50代の人を山ほど見てきた。そういう人たちは、ウェブサービスについて理解しようと勤め、「WEB2.0」と呼ばれるようなビジネスをする者に対して、とても肝要に応対してくれた。



この本を読むことで、新しい仕事を創りあげようという志を持つ若者たちに、

理解を示し、道を開いてくれる人たちが増えてくれれば良いのだが。



そして、自分達の視点でいうと、この本は1975年から2025年を中心においている。自分もそうだが、1975年前後に生まれた人たちが、新しい秩序を受け入れやすい環境にあり、新しい時代を創り出していくことを予感させている。



その彼らが実現したい夢を叶えつつある一まわりばかり上の梅田望夫氏は、この世界の神という存在かと思ったが、むしろ兄貴的な位置づけなのかもしれない。



オプティミストと自負する、梅田氏の発言は、そこそこの実力をつけながら、今の仕事に生きがいを見出せない30代前半のサラリーマンに活力を与えてくれている。



更に言うと、この本は誰のためにあるのかというと、『ウェブ進化論』にて梅田望夫氏のその言葉を信じて、忠実にウェブ社会に溶け込もうと、この1年半を過ごしてきた人のためにあるといってもいいと思う。



新しい秩序が動き出していることを感じ、その波に乗ろうと、必死になって自らの行動を変えた人が更なるエネルギーを補給するには最良の一冊となるだろう。