ドすごい会議-『決断の本質』
「リーダーは自分の意思決定の有効性を判断するのに結果を待つ必要はない」というのが本書の目的。
つまり、結果ではなくその意思決定プロセスが適切であったかを検証すればいいということ。
決断の本質 プロセス志向の意思決定マネジメント
マイケル・A・ロベルト (著), スカイライトコンサルティング (翻訳)
意思決定の会議体が独裁的、政治的になってはいないか(本人が気づいていない場合が多い)。
コンセンサスという意味を正しく理解しているか。
こういうことは感覚的にチェックしてもよくわからない。
リーダーは自分の保身や面子を保つために全て「YES」というんだろう。
そうならないためにも、しっかりとしたプロセス(特に会議体)を定義づける必要があるという。
『すごい会議』って本がいまでも流行っているけど、それに比べると本書の方が断然いい。
ただ『決断の本質』ってタイトルがいまいちわかりづらい。
中身は意思決定プロセス(特に会議での)を定義していてとても参考になる良書。
『定量分析講座』では数値で判断する意思決定を謳っていたけど、それは細部の話で、
数値を算出するという部分を盛り込んでの全体でのプロセスが、本書にあたるわけだね。
数値的には正しくても、それが実行する人へのコンセンサスにつながるかというとそうではないからね。
それなりの分析数値を出して「俺が正しい」といって、とおってしまう会社はやばい。
で、本書を読んでいて思ったのが、これ自体があくまでもリーダー(社長レベル)向けの内容であること。
そして、大抵の会社は会議の様子をのぞけば大体の文化がわかるんだろうと。
本書に書いてある良くない光景はいままで散々目にしてきた。
大抵は、上司の言うことは絶対で、変なことを言うよりかは黙っておいた方がいいというもの。
自分もそういう組織にいたから、そうなる心理的なところは充分に察することが出来る。
ただ、自分は下っ端で無力だからと悲観になる必要はない。
小さなことからでも、プロセスを変えるためにできることはある。
本書の途中にドラッカーの言葉が引用されているが、これは良いプロセスをつくりだすヒントとなる。
「経営者が意思決定において過ちを犯すもっともありふれた法則は、正しい<質問>ではなく、正しい<答え>を見つけることに重きをおくことだ」
これを経営者だけではなく、会議の参加者全員が意識すればいい。
別に意見とか、考えを表明する必要はなくて、何か発言しづらい場合は疑問に思ったことを質問すればいいんだ。
で、実際の会議において自らそれを試してみた。
すると、会話が変なほうに流れることがない。
そして、参加者の理解が深まるという良い効果が目に見えてわかる。
しかも、自分は主張しなくていいので精神的にも楽だ。
これは、本当に効果があると実感できる。
無理に組織文化を変えようとするよりも、または経営者の考えが変わるのを待つよりも、質問攻めは実行しやすい内容じゃないかな。
まだ読み途中だけど、いろいろと参考になる。
これで3冊目だけど、スカイライトコンサルティングのウォートン経営戦略シリーズは結構いけるね。
ちょいと集めてみよう。
すごい会議-短期間で会社が劇的に変わる!
大橋 禅太郎 (著)
定量分析実践講座?ケースで学ぶ意思決定の手法
福澤 英弘 (著)