営業はこの本マストだよ『コンサルタントの「質問力」』


新書なのに、ここまで奥深く書かれているとは。文句なしにこの本はオススメできる。


コンサルタントの「質問力」 (PHPビジネス新書)

コンサルタントの「質問力」 (PHPビジネス新書)


質問力に不可欠な要素は「仮説力」「本質力」「シナリオ力」の3つ。
これを見るとわかるが、質問力は単なる質問の上手さというテクニックではない。
市場や顧客の置かれている状況の入念な調査や、ヒアリングに対するストーリーの構築というような事前準備が何よりも大切だ。


本書は、それらをわかりやすく解説している。
特に著者が「蝶ネクタイチャート」と呼ぶ、ロジックツリーや、相手に気づきをもたらす「呼び水」というのは、なるほどと感心させられた。


で、本書の内容は自分が質問について常日頃から意識していることが書かれていた。
営業職でも、質問の重要さはコンサルタントと変わらない。
コンサルタントにとっては質問は全ての入り口にすぎないかもしれないが、営業職にとってはそのほとんどがヒアリングに集約される。


営業をやったことがない人から見ると営業は如何に上手く説明するかだと思われるが実は違う。
何をする職業かというと、本書に書かれていることをする職業。
つまり、顧客の抱えている課題をヒアリングから掴むことで十中八九が決まるような職業だ。


そして、最終的に営業が訪問してヒアリングすることが、本書に書かれている以下の結果につながる。

インタビューの最終目標は、相手に行動を促すことである。


さすがに、経験上ここまで考えて質問をしたことがなかったが、過去の経験からそのような結果になったと感じたことが何回もある。
同時並行で読んでいた本である「嘘を見破る質問力」で主張されている内容にヒントがあった。
それは、人間の記憶の曖昧さ。相手からは嘘を思えても本人が勘違いしていることが多いという。
この本はその曖昧な矛盾を明確にするための質問とされているが、同じように質問に答えることで話の論理がまとまることもある。
こっちは会って話をしているだけなのに、相手が勝手に喋ってやる気になってくれることが正にそうなんだろう。
勝手に相手が解釈してくれて、その気になる場面に遭遇すると質問の凄さを実感できる。


で、営業を始めてから既に6年が経つ。
自分が運がいいのは、このヒアリングの重要さを、営業を始めた当初、入念に教えてくれた人がいたことだろう。
本書ほど細かくはないが、似たようなことを大体は教えてもらった気がする。


恐らく、ほとんどの営業が運良くそういう人と出会うことはないだろう。
だからこそ、営業の入門書として本書はオススメしたい1冊と言いたい。


営業して数年が経ってしまうと、その会社独特の営業スタイルが正になってしまい、本書のようなヒアリングを重視した営業を身に着けるのは難しい。
だからこそ本書は、バイアスのない状態で入門書として読むことで、価値のある1冊となるんじゃないかと思う。