悩む力

読んでいる人が結構いたので。


悩む力 (集英社新書 444C)

悩む力 (集英社新書 444C)


文章的に、なんとなく大学生の論文を読んでいるような感じ。
著者の主観がもう少し多く含まれていれば、心に響くものがあったんだろうけど。。。


その中でも、印象に残ったのはこの1文。

サービス業の大きな特徴として「どこまで」という制限がない


これは、サービスを提供する側もそうだが、一方で受ける側も「どこまで」というのがないのがややこしいところ。本書の冒頭にあるように、悩みが尽きない理由の1つにグローバリゼーションによる情報や選択肢が増えたことがあげられる。


選択肢が多いため、人はなかなか満足できない。それ以上のものがあるのではと思ってしまう。
サービス業はそのような人たちを満足させることを追及しているようなもの。たまたま爆発的にヒットしても、左団扇でお金が入ってくるようなものなんて、今の世の中にはほとんどない。


そんな中、上手にビジネスをしているところは、定期的にヒット商品を世に出している。1つの成功に頼ることなく、それぞれのサービスにライフサイクルを決め、経営を安定させる。


そんな経営的視点を自分自身にあてはめることで、社会人の悩みの多くは解決できるとなんとなく感じる。(本書ではフランクルについても書かれているが、戦時中の生きることに対する希望は今の社会人と欲求段階が違うので、あまり参考にならない。)
社会人として悩みを持つ人は、ぱっと思いついたものをあげてみると以下のパターンだろう。

  1. 自分が何をやりたいのかわからない。
  2. 理想の自分を持つが、それに向かって自分を変えられない。
  3. 理想は持つが、なかなかそれに近づかない。


つまり、ゴールとマイルストーンを自分自身に設定できるかがポイントとなる。
いきなり「金持ちになりたい」なんて漠然とした目標を真剣に持つことは、悩みの種に成りかねないが、意外とそんな人は多い。ほかには「ビッグになりたい」とか「有名になりたい」とかね。


夢はでかい方がいいが、宝くじを買うのと何も変わらないなら、実現性は低い。
昔はある意味、結婚とかマイホームとか、超えるべきハードルが低かったものが、宝くじを当てることくらいハードルが高くなっちゃったら、そりゃ悩みは尽きないね。


サービスと同様上限がないものは、何かしら上限を決めたり、段階的に区切ることが必要となる。
理想は高いほどいいが、その高い理想に対して「はしご」をかけることができなければ、悩みを消すのは難しいよね。


詳しくは別のブログで触れようと思うが、ここら辺が今月号のハーバードビジネスレビュー(HBR)に、上手いこと触れられている。悩みの要素は山ほどあるが、それがキャリアとか自己の成長に関することであれば、内省という形で自己の長所や短所などを分析することが必要となるという。


そうすることで、自分自身が勝手に抱えている、ないしは他者から押し付けられた価値観からくるプレッシャーから開放される糸口が見つけられるというもの。悩みというのは常に自己の中から発生してくる。だからこそ、内省という形で見つめなおすことが重要なんだろう。


正直、自分も悩みはたくさんある。
ただ、何が悩みなのかが明確なので、悩み自体消えることはないが、冷静に対処できる。今月号のHBRは更にそれらを論理的に分析しているので、なおさら気が楽になった。どちらかというと仕事で悩んでいる人には『悩む力』よりもHBRのほうがオススメだね。