行動するリーダーの条件

先月号のハーバードビジネスレビューは「目からうろこ」な内容が多く、さらにさらに。


http://d.hatena.ne.jp/naotake1974/20081006/1223303292


従業員の満足度をあげるために、いろいろな理論が発表されている。
参考になるのは、マズローの「欲求段階説」だとか、『熱狂する社員』の「公平感」「達成感」「連帯感」だとか、センゲの『最強組織の法則』の「学習する組織」であったりとか。


ただ、本書に書かれた論文によると、今回のは脳科学というものに基づいて、新たに考察された「欲動」というもの。以下が、その4つの欲動。

1.獲得:社会的地位など無形なものも含めて、希少なものを手に入れること。
2.絆:個人や集団との結びつきを形成すること。
3.理解:好奇心を満たすことや自分の周りの世界をよく知ること。
4.防御:外部の脅威からわが身を守り、正義を広めること。


獲得とか絆とか理解(好奇心)というのは、何となくわかっていたが、防御が目新しく新鮮。特に大企業への定着を求める人は防御に対する意識が強いんだろうか。大企業内でのアメとムチの「ムチ」は逆効果かも知れない。


で、この4つが本能を刺激することが、モチベーションとして現れる。
経営的にそれぞれのポイントが従業員が判断できるように見えるものは、「獲得=報酬制度」「絆=企業文化」「理解=職務設計」「防御=業績管理と資源配分プロセス」だという。


そして、これらは本能的なものなので、社員のモチベーションを上げるためには、どれかではなく全てを改善することこそが効果を得られるという。経営的に全てを変えるのはとても難しいことだが、これは、組織長や直属の上司などの行動によるものが大きいとされている。


「防御」という意味があることで、何よりも部下の満足度をあげるには、上司が部下を守るということも必要になってくる。そうすると、本理論にあるように上司が持つ社内に対するパワーが部下のモチベーションに影響してくる。自分の上司が社内に対して権力がないのであれば、それは部下にとっては木の盾であって、安心感は生まれないかもしれない。


部下を持つものとしては、結構耳の痛い話ではある。この理論は面白いことに組織に属する人の本能という意味で捉えている点。中途半端な研修を受けても身に着けることは簡単ではない。果たして「インセンティブ」「組織文化」「価値のある仕事の提供」「上位からのディフェンス力」をコントロールできるスーパー上司はいるのだろうか?組織が細分化される中で、多くの企業が社長ですら、このような力の1つも持てないケースも普通にあると思う。


何となく本書を読んでいて思うが、組織リーダーに求められるものがワークライフバランスとかダイバーシティとかの影響せいか、大きく変わってきている気がする。もちろんそこまでするかどうかは、その人次第。「従業員が満足する」組織を作るのであれば必要だということだが、少なくてもそれぞれに対する価値観は持っていたほうがいいかもね。