株に興味なくても参考になる


財務系の本として面白い本は久々だ。
内容は、業種の違う9つの企業をピックアップし、財務諸表からその経営を分析するもの。著者はコンサルタントとして数多くのM&Aや企業再生案件に参画した経験を持つ。つまり、本書はただ単に分析が得意な会計士や「さおだけや」のような消費者的視点での書き方が上手い著者とは違い、プロフェッショナルの視点から書かれた財務分析に関する1冊といえる。


デューデリジェンスのプロが教える 企業分析力養成講座

デューデリジェンスのプロが教える 企業分析力養成講座


この本の素晴らしいところは、選ばれた9つの企業が、スターバックスジャパン、三菱地所、創通、ビックカメラGABAJR東日本横浜銀行ミクシィ任天堂という業種も業態も企業価値も違う企業であること。当然、財務諸表の中身やキャッシュフロー流動性も変わるため、分析するポイントが違ってくる。


その中でも、面白いのが単に財務諸表からだけではなく、有価証券報告書も著者が分析する上で参考にしていること。当然といえば当然だが、数値の偏りの妥当性をその企業の戦略と照らし合わせることにより検証している。ただ単に同業社の財務諸表を比べたりして、比較するというようなやり方ではなく、その妥当性から将来性を導き出す分析力が垣間見えるところは、今までにない1冊じゃないかな。


投資ブームとかで、株に興味がある人には参考になると思うけど、上場企業に勤めている人やこれから企業しようとする人にも大いに参考になる。何気に本書では単なる分析だけではなく事業戦略を立案し進めていく上でのヒントが多く隠されているからね。出て行くお金より入ってくるお金が多ければいいというようなどんぶり勘定くらいしか考えていない人には、目からウロコかも。また、これから財務を勉強しようと思っている人は、勝間さんの「利益の方程式」と合わせて読むことで、財務に対するとてもよい学習ができるんじゃないかとも思う。


勝間式「利益の方程式」 ─商売は粉もの屋に学べ!─

勝間式「利益の方程式」 ─商売は粉もの屋に学べ!─