まぐれ

思いがけない成功が「まぐれ」か「実力」どうかは、本書を読むことで何となくわかると思う。


人はどうして、投資で儲かると自分の実力だと思い込み、損をすると運が悪かったと思うのか?トレーダーとしての20年以上にわたる経験と、数学、行動経済学脳科学、古典文学、哲学等への深い知識と鋭い洞察をもとに、金融市場や日常生活において偶然や運が果たしている隠れた役割と、人間の思考と感情との知られざる関係を鮮やかに描き出す最高の知的読み物。〜amazon.co.jpより〜


基本的に、金融市場におけるトレーダーなどの話が中心となってはいるものの、著者曰くエッセイであるゆえ、そうでない人でも楽しめる内容となっている。本書を読むことで、だいぶ前に流行ったユニクロの柳井さんのいう『1勝9敗』は実は『1勝9分』であると感じる。『9勝1敗』でもどん底に落ちることがあるんだから、『1勝9敗』は1勝と1敗の重みが違う。


まあ、細かく書くのもややこしいので、詳しくは本書を読んでほしい。ここ最近の読書にマンネリを覚えている人にとっては、目新しい内容が豊富に含まれているので、充分に刺激になると思う。特に、リスク感度の弱い人は必須だね。


で、本書で注目した点は、さわり部分ではあるが「まぐれ」は人を育てる要素も持っているということ。
(どうしても、本を読むとスキルアップや成長というところに気づきが行ってしまう)

ある人がいい業績をあげると、その人のセトロニンが増加して、一般に「リーダーシップ」能力と呼ばれるものが向上する。(中略)落ち着いて自信を持って自分の考えを語るなんていうように、立ち振る舞いがほんのちょっと変わっただけで、信頼できる人に見えるようになる。


そう思われればチャンスだ。勝ち馬に乗ることで自分自身の実力をつけることもできる。運は人を育てる要素にもなる。だから、運か実力かはどっちでもいい。実力は後からでもついてくる、その1つの要素として「まぐれ」がある。「まぐれ」か「実力」を見極められるかどうかも、その人の成長力に影響すると感じる。


ある意味、「流れ」とか「空気」とかいうものを理解するのにも、本書は役立つんじゃないかな。