今更ながら・・・
これを読む。
いまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ―有効需要とイノベーションの経済学
- 作者: 吉川洋
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2009/02/27
- メディア: 単行本
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難しくて、よくわからない部分も多かったが、その割には面白く読めた。ビジネス書ばかりに視点をあててると、経済学ってあんまり関係ないと思うけど、そんなことない。ケインズとシュンペーターがどんなことをやってた人は、本書を読んでいただければ。
以下、面白いと思う内容(個人的に解釈して簡単に書いているので、内容が正しいかは知らない)。
投資というのは美人投票(自分が一番と思う人ではなく、みんなが一番と思う人に投票する)のようなもん。だから、本当に効果が期待できる投資じゃなくて、みんなが効果が出ると思いそうなものに投資するので、バブルみたいなもんが起こる。
不況というのはイノベーションの結果。市場にリリースされた直後は価格も高いが、投資を回収やコストの効率化で価格は下がっていく(デフレ)。またイノベーションによりショベルカーが出来ると50人でやっていた仕事が5人ですむなど、労働力も省力化されるような結果も生み出す(失業率の増加)。
特に後者の内容を見て『イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard Business School Press)』が読みたくなった。
で、不況時の対策として、ケインズはバラマキ政策で公共事業への投資により需要を増やすことをといているが、シュンペーターは資本主義である限りイノベーションは市場成長に必須と説いている。確かに、ダムをひたすら作るより、iPodみたいな魅力的な製品が次から次へと市場に出てくるほうが消費者にとっても魅力的だ。
人によって、どちらに学ぶかはそれぞれだが、ウェブ業界にいるんだから、もちろんシュンペーターでしょ。ちなみに、今の日本の政策は資本主義とは逆の方向に行っているので、いけてないね。企業がイノベーションを起こせるような投資を積極的にして欲しいもんだ。
黒船襲来
ちょっと前に下田に旅行に行ったときの写真。あんまり意識してなかったけど、アメリカ艦隊が駐留していた幕末の要所として、いろいろなメディアにもちょうど取り上げられている。行った時も、龍馬伝で吉田松陰の話があった直後だったので、初めて訪れる場所ではないけど新鮮だった。5月には黒船祭があるとのことで、今年は盛大に盛り上がるんだろう。
ただ時期的には寒いので、観光客もまばら。伊豆の踊り子号は満席だが、そのほとんどが河津桜が目的。下田にもちらほら咲いているところがあった。ちょっとした値段で温泉や料理がしっかりしたホテルにも泊まれるので幕末好きな人は、そこそこ楽しめる場所かもね。熱海に行くんだったら、ここら辺まで足伸ばしたほうがいいと、個人的には思う。
未来予測
何となく気になったので。
100年予測―世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図
- 作者: ジョージフリードマン,George Friedman,櫻井祐子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/10/09
- メディア: 単行本
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- 作者: 大前研一
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2009/11/06
- メディア: 単行本
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- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2010/02/01
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1冊目の100年予測では、向こう100年に起こる戦争などの軍事シミュレーション。50年後には日本、トルコが勢力を拡大するために、アメリカに戦争をしかけるそう。あまりにも先の話は、何となく半分冗談で読めばよいが、過去と近未来の話は世界史をあまり勉強していなかった自分には、とても参考になる。
戦争による領地の拡大はあくまでも、自国の利益を増やすため。現代においてはEUのように共同体を作ることは、アメリカや中国などの経済規模が既に大きな社会に対抗するためでもある。自分の国で作ったものを自分の国で消費するというバランスのよい社会もあるが、日本のような資源の少ない国や逆に資源が多いが需要がない国などは、そのバランスを保つことが出来ない。なので、企業と同じく仕入先と販売先という存在が常に現れてくる。日本でいうと中国などから原価の安いものを仕入れ、アメリカなどの需要の多い国に販売する。
そんな中で、流石にEUくらいのでかい共同体になれば、自給自足も何とかなるかもしれないが、日本だけの小さな国ではそんなわけにもいかないだろう。特に日本はものづくりの国と言われるが、資源がないので、そこは頭(イノベーション)と技術を持って加工品を送りださないとグローバルでは通用しない。昔の人がその言葉にやたらとこだわる意味が何となく理解できる一方、システム開発会社が「ものづくり」を、やたらとうたい文句とすることに、何となく違和感を感じ始めた(そのほとんどが労働集約の下流ビジネスだからね)。
日本の強みは隣接するアジア諸国から安くものを仕入れ、そのアイデアと技術で高品質なものを作り上げ、東側のお隣国であるアメリカにモノを販売する(ことだった)。ただ、ロジスティクスやウェブが発達した今となっては、アップル社が既にアジアの工場で生産させているように、日本の強みは崩れつつあるように思える。そんな状況の中なのに、鳩山首相は食料自給率アップをPRしている場合じゃないと思うんだが。。。
とまあ、小難しいことはおいといて何となく理解したい人は、東洋経済がまとめているので、こっちを読んだほうがいい。
マネージャーとは?
なぜ、我々はマネジメントの道を歩むのか 人間の出会いが生み出す「最高のアート」
- 作者: 田坂広志
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2007/07/19
- メディア: 単行本
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自身、マネージャーという立場になることで2年が経つ中で、たまたまブックオフで本書を見つけ、いろいろとおさらいするのによいかと思い購入。
本書においてマネージャーとは「部下の人生に責任を持つ」立場であるということで、とても納得のいく内容だった。
売上の目標に対して責任を持つのは当然のことで、それを実行しながら、メンバーの成長も考えての判断や意思決定をするのもマネージャーの役割となる。
本ブログでよく言及しているが、自分自身がコーチングに違和感があるのは、テクニックに注目が集まり、このような成長に対する責任というものが脇に置いてかれているからなんだと思う。テクニックというよりも、教えられる人の人生に責任持てるかどうかというまずはマインド形成が重視されるべきじゃないかと。
また時代背景を考えても、この考えは重要になってくると感じる。会社の慣例に従わせるということは、部下の身の保証にはならないことは明らかなのと、労働集約型からサービス業が主流になることから、ルーチンワークよりも、一人一人のスキルが必要となるビジネスが主流となってくるだろうから。
まだ部下を持ったことのない人と話を聞くと、「自分の手足」と勘違いしている人が多い。本書は文章は難しくないので、部下を持ったらとりあえず読んでみる価値はあると思う。マネージャーの重荷に気づく人が少ない中、本書はとても意義ある一冊だ。
ここ最近のパラダイムシフトを感じられる本
ここ最近読んでた本から、大きなパラダイムシフトを感じたので、まとめてみることに。
まず、価値観というのは人それぞれで違うし、同じ人でも時間が経過することでその価値観が変わることもある。そして、その価値観は人が行動することを促す、最大の原動力となることは明らかだろう。それらは、自身の目から見たらモチベーションだし、そのような心理を利用しようと思えばインセンティブという言葉になる。
昭和の時代は、その価値がモノ中心であり、一般庶民の憧れであるマイカー、マイホームなんていうのがわかりやすい例だった。企業もそれらを多くの人に届けるべく大量に生産し、サラリーマンはそれらを得ることをモチベーションとして、ひたすら働いた。
ただ、今の社会では「嫌消費」などという言葉が出てくるように、多くの人が消費に対して消極的になってきている。この人たちの価値観に家や車を買うことの喜びはない。それは、単に収入などの経済的な理由ではなく、ユニクロを好むのとは訳が違う。パソコンや携帯電話でネットさえつながればそれで満足できてしまうので、お金は通信料程度あれば、それでよかったりもするし、更にいえば実家にさえいれば、それにもほとんどお金がかからなかったりする。
ウェブに接続できれば無料のサービスが山ほどある。一方、そのようなユーザーに無料でサービスを提供する仕組みを、コンテンツを提供する企業は上手いこと作り上げている。昭和の時代の同じものを大量生産して、同じ価値で多くの人に提供するビジネスモデルとは違い、同じサービスでも、ある人にはプレミアムな価値をつけてあげて有料にしたり、コンテンツそのものの製作を心理的なインセンティブと引き換えに提供してもらうなどというビジネスモデルで成り立っている。
ここで言う心理的なインセンティブとは、対価が発生するものではない。もし、対価が発生したらそれは労働となり、多くのユーザーを訪れる魅力的なコンテンツとはなり難い。仮に善意で行動している人が対価を得るようなことがあれば、やっていることや結果が同じでも、そこにあるモチベーションは異なってくる。
こんな流れで本を読んでいて、改めて気づいたことは、自分のモチベーションは何で、インセンティブは何なのかということ。
経済価値でいうと、自分の今持つ時間に対する対価はどれくらいなのか?大学時代は当然時間も有り余っていたので時給900円でも、まあそんなもんと思うけど。また、自分はモチベーションで働いているのか、インセンティブを得るために働いているのか?ベンチャー企業であれば仕事の内容だし、大企業だと様々な手当てがあるからそこに属しているのかもしれない。また、更にいうと自分のために働いているのか、家族のために働いているのかでも、労働に対する対価は変わってくる。更には、今のために働いているのか、将来のために働いているのか?経済学的では、時間により価値が変わるというように、時間を対価に労働しているなら、今の時間は今のために使うか、将来のために使うか価値観は変わってくるはずだ。
経済学は簡単にいうと交換社会に関することだから、最終的には個人の労働にまで落ちてくるので、改めて考えさせられることが多い。そんな中、不景気なご時世なので、仕事が労働となりつつある人は多いと予測でき、当たり前だが多くの人が保守的になっている。一方、このパラダイムシフトにより最小限の労働力で価値を提供する会社が増えて来ている。保守的な心理になりつつも、パラダイムシフトが起きている今という時間をどう使っているかは、とても重要になってくるということが、これらの書籍を読んでいて感じたこと。
労働市場に埋もれることで、パラダイムシフトについていけなくなることもあるんじゃないかと。当然のことながら、労働力は安い市場に流れていくので、賃金の高い国内生産は減ってくるだろうし。
(余談だが、『インセンティブ』内に書かれていた内容で、労働力の安い国のレストランは値段以上に食べ物が美味しいというのは納得できるものだった。)
ということで、これらの流れを知るための3冊。
特に無形なものの価値があがるのは、心理的充足を求める比率が高くなってきたことだと思う。
- 作者: クリス・アンダーソン,小林弘人,高橋則明
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2009/11/21
- メディア: ハードカバー
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- 作者: タイラー・コーエン,高遠裕子
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2009/10/22
- メディア: 単行本
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「嫌消費」世代の研究――経済を揺るがす「欲しがらない」若者たち
- 作者: 松田久一
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2009/11/13
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